支払督促申立書の書き方【完全ガイド】テンプレートと記入例で自分で債権回収!
支払督促申立書の書き方【完全ガイド】テンプレートと記入例で自分で債権回収!
借金や未払い代金を回収したい!支払督促申立書の書き方と手続きを徹底解説
「貸したお金が返ってこない」「売った商品の代金を支払ってくれない」――。
こうした債権回収の悩みは、個人事業主や中小企業の方だけでなく、個人の方にとっても切実な問題です。しかし、訴訟となると時間も費用もかかり、心理的なハードルが高いと感じる方も多いのではないでしょうか。
そこで活用したいのが、裁判所を通じた迅速な債権回収手続きである「支払督促」です。支払督促は、相手方(債務者)が異議を申し立てなければ、訴訟を起こすことなく強制執行まで進めることが可能です。
本記事では、あなたが自力で支払督促申立書を作成し、手続きを進められるよう、その書き方、必要書類、具体的な記入例、そして提出後の流れまでを、日本の法律に詳しいSEOライターが平易な言葉で徹底的に解説します。テンプレートの活用や費用についても触れますので、ぜひ最後までお読みください。
1. 支払督促とは?そのメリット・デメリットを理解しよう
まずは、支払督促がどのような制度なのか、その基本を押さえましょう。
1-1. 支払督促の基本
支払督促とは、金銭などの支払いについて、債務者が異議を申し立てなければ、簡易裁判所の書記官が債務者に対しその支払いを命じる制度です。裁判所が関与する手続きでありながら、書類審査が中心で、原則として裁判官による審理や口頭弁論(法廷での話し合い)は行われません。
1-2. 支払督促のメリット
支払督促は、以下の点で債権者にとって非常に有利な制度です。
- 費用が安い: 通常訴訟に比べて、裁判所に支払う手数料(収入印紙代)が半額で済みます。
- 手続きが簡易・迅速: 書類作成と提出が中心で、口頭弁論は原則ありません。相手が異議を申し立てなければ、およそ1.5ヶ月〜2ヶ月で手続きが確定し、強制執行まで進める可能性があります。
- 弁護士に依頼せず自分でできる: 申立書の作成方法を理解すれば、弁護士費用をかけずに自分で手続きを進められます。
- 強制執行への移行が容易: 相手が異議を申し立てずに支払督促が確定すれば、「仮執行宣言付き支払督促」を得られ、これに基づいて相手の財産(預貯金、給料、不動産など)を差し押さえる「強制執行」を申し立てることができます。
1-3. 支払督促のデメリット
一方で、支払督促にはいくつか注意すべきデメリットもあります。
- 相手が異議を申し立てると訴訟に移行: 債務者が支払督促を受け取ってから2週間以内に「異議申立て」を行うと、支払督促は効力を失い、原則として通常訴訟に移行します。この場合、当初から訴訟を起こした場合と同じく、法廷での審理が必要になります。
- 債務者の住所が不明な場合は利用できない: 支払督促は、裁判所から債務者へ書類を送達(郵送)する必要があるため、債務者の正確な住所が分からない場合は利用できません。
- 金銭債権等に限られる: 支払督促の対象となるのは、金銭、有価証券、その他の代替物の給付を目的とする請求に限られます。例えば、「建物を明け渡せ」といった請求には利用できません。
- 相手が海外にいる場合は利用できない: 支払督促の送達は、日本国内の住所にしかできません。
2. 支払督促申立書を作成する前の準備:これで漏れなし!
申立書をスムーズに作成するために、以下の情報を事前にしっかり準備しましょう。
2-1. 債務者の正確な情報確認
何よりも重要なのが、相手方(債務者)の正確な情報です。
- 氏名または名称: 個人であれば氏名、法人であれば正式名称を正確に。
- 住所または所在地: 住民票や商業登記簿謄本で確認できる、現在居住・営業している正確な住所を把握しましょう。郵便物が届かなければ手続きが進みません。
2-2. 債権の内容を具体的に整理する
請求する内容(何のお金が、いくら、いつから発生しているのか)を明確にします。
- 債権の種類: 売掛金、貸付金、請負代金、家賃、養育費など。
- 元金: 請求する金額の合計。
- 利息・遅延損害金: 契約で定められている場合や、法律で認められている場合は、その利率と計算期間を明確にします。
- 法定利率: 民法改正により、2020年4月1日以降に発生した債務については原則年3%(変動制)。それ以前に発生した債務には年5%が適用されることがあります。契約で別途利率が定められていればそちらが優先されます。
- 発生年月日・支払期日: 債権が発生した日と、支払われるべきだった日。
- 具体的な経緯: 契約締結日、商品の引き渡し日、お金を貸した日など、債権が発生した一連の流れを時系列で整理します。
2-3. 証拠書類を揃える
支払督促の段階では書類の添付は必須ではありませんが、裁判所から提出を求められる場合や、異議申立てにより訴訟へ移行した場合に備えて、証拠は事前に揃えておきましょう。
2-4. 管轄裁判所の確認
申立書を提出する簡易裁判所は、原則として債務者の住所地(法人の場合は本店所在地)を管轄する簡易裁判所です。管轄は裁判所のウェブサイトで確認できます。
3. 支払督促申立書の書き方【テンプレートと記入例付き】
それでは、支払督促申立書の具体的な書き方を見ていきましょう。申立書は、裁判所のウェブサイトからダウンロードできるほか、市販の書籍にも書式が添付されています。
3-1. 申立書の入手方法
- 裁判所のウェブサイト: 裁判所の書式ダウンロードページから「支払督促申立書」をダウンロードできます。Word形式やPDF形式が提供されています。
- 簡易裁判所窓口: 窓口で直接受け取ることも可能です。
- 市販の法律関連書籍: 専門書には記入例とともに申立書式が掲載されていることがあります。
3-2. 申立書の主要項目と記入方法
ここでは、主要な記入項目と、具体的な書き方を解説します。
【支払督促申立書の基本的な構成】
- 裁判所名
- 事件の表示
- 当事者の表示
- 請求の趣旨
- 請求の原因
- 添付書類
- その他
- 日付・申立人署名捺印
1. 裁判所名
- 管轄する簡易裁判所の名称を記入します。
- 例:「〇〇簡易裁判所 御中」
2. 事件の表示
- 申立人が誰で、相手方が誰であるかを明確にします。
- 例:「申立人 〇〇〇〇 相手方 〇〇〇〇 殿に対する支払督促申立て事件」
3. 当事者の表示
- 申立人(あなた)の情報:
- 氏名(または法人名): 正確に記入し、フリガナも振ります。法人の場合は代表者氏名も。
- 郵便番号、住所、電話番号: 連絡がつくものを記入。
- 相手方(債務者)の情報:
- 氏名(または法人名): 正確に記入し、フリガナも振ります。法人の場合は代表者氏名も。
- 郵便番号、住所: 住民票などで確認できる正確な住所を記入。
4. 請求の趣旨(何を、いくら請求するのか)
請求の趣旨は、「何を」「いつからいつまで」「いくら」請求するのかを明確に記載する非常に重要な部分です。
記
1. 相手方は申立人に対し、金〇〇〇円を支払え。
2. 相手方は申立人に対し、上記金〇〇〇円に対する**〇年〇月〇日から支払済みまで年〇%の割合による遅延損害金**を支払え。
3. 申立費用は相手方の負担とする。
以上
- 1. 元金: 請求する金額の合計額を具体的に記載します。数字は漢数字でもアラビア数字でも構いませんが、読みやすい方を選びましょう。
- 例:「金1,000,000円」
- 2. 遅延損害金: 契約書で定められた利率がある場合はその利率を、ない場合は法定利率(現在年3%)を記載します。遅延損害金が発生し始めた日(支払期日の翌日など)から、実際に支払いが完了する日まで請求できる旨を明記します。
- 例:「上記金1,000,000円に対する令和5年4月11日から支払済みまで年3%の割合による遅延損害金」
- 3. 申立費用: 申立手数料(収入印紙代)と、書類送達費用(郵便切手代)のことです。これらも相手方に負担させるよう請求します。
5. 請求の原因(なぜ請求するのか、根拠)
請求の原因は、請求に至った経緯と法的根拠を具体的に記載する部分です。 「いつ」「誰と」「どのような契約を結び」「いくら貸した(売った)のか」「支払いが滞っている状況」などを時系列で、かつ簡潔にまとめます。
【具体的な記入例】
-
売掛金の場合(例:商品の売買代金)
1. 申立人は、相手方に対し、**令和5年4月10日**、商品〇〇(例:パソコン〇台)を**金500,000円**で売渡し、**令和5年5月10日限り**支払を受ける旨の売買契約を締結した。 2. 申立人は上記商品を引き渡したが、相手方は支払期日である令和5年5月10日を経過しても、現在に至るまで上記代金を全く支払っていない。 3. よって、申立人は、相手方に対し、売買代金500,000円及びこれに対する令和5年5月11日から支払済みまで年3%の割合による遅延損害金の支払いを請求するものである。 -
貸付金の場合(例:個人的な借金)
1. 申立人は、相手方に対し、**令和5年6月1日**、**金1,000,000円**を貸し付け、**令和5年12月31日限り**返済する旨の金銭消費貸借契約を締結した。 2. しかし、相手方は期限までに上記金員を返済しなかったため、申立人は、相手方に対し、上記金1,000,000円の返還を請求する。 3. 上記貸付金については、特段の遅延損害金の定めはないが、民法第404条に基づき、上記金1,000,000円に対する令和6年1月1日から支払済みまで年3%の割合による遅延損害金の支払いを請求するものである。※契約書で遅延損害金が定められている場合はその旨を記載します。
-
家賃滞納の場合
1. 申立人は、相手方に対し、**令和3年4月1日**、申立人所有の**〇〇市〇〇町1丁目2番3号〇〇[マンション](/blog/condo-association-dispute)101号室**につき、**月額賃料100,000円**、共益費5,000円、敷金200,000円の賃貸借契約を締結した。 2. 相手方は、令和5年10月分から令和6年3月分までの家賃及び共益費(合計630,000円)を滞納している。 3. よって、申立人は、相手方に対し、上記滞納賃料及び共益費合計630,000円並びにこれに対する令和5年10月1日から支払済みまで年3%の割合による遅延損害金の支払いを請求するものである。
6. 添付書類
- 申立書と一緒に提出する書類(通常はコピーで十分)を記載します。
- 例:「金銭消費貸借契約書(写し)」「請求書(写し)」など。
- 支払督促の段階では添付は必須ではありませんが、後々の訴訟に備えて証拠は手元に用意しておきましょう。
7. その他
- 申立人(あなた)が法人の場合、代表者事項証明書などを提出した旨を記載します。
8. 日付・申立人署名捺印
- 申立書を作成した日付を記入し、申立人の氏名を自署(記名でも可)し、押印します。法人の場合は代表者印を押印します。
3-3. 収入印紙と郵便切手
申立書の作成と同時に、手数料として「収入印紙」と、書類送達費用として「郵便切手」を用意する必要があります。
- 収入印紙:
- 請求額に応じて異なります。通常訴訟の半額です。
- 計算例:
- 10万円まで:500円
- 10万円超100万円まで:請求額の0.5%(例:50万円請求なら2,500円)
- 100万円超500万円まで:請求額の0.35% + 1,500円
- 収入印紙は郵便局などで購入し、申立書の所定の欄に貼り付けます。
- 郵便切手:
- 裁判所が相手方に支払督促を送達するための費用です。
- 金額は簡易裁判所によって多少異なりますが、3,000円〜5,000円程度が目安です(内訳として、1000円切手〇枚、500円切手〇枚、100円切手〇枚、84円切手〇枚など、指定される場合があります)。
- 提出先の簡易裁判所のウェブサイトや窓口で確認しましょう。
4. 申立書の提出方法と手続きの流れ
申立書が完成したら、いよいよ提出です。その後の流れも理解しておきましょう。
4-1. 提出先と方法
- 提出先: 準備段階で確認した管轄の簡易裁判所書記官宛。
- 提出方法:
- 窓口に持参: 最も確実な方法です。書記官に内容を確認してもらい、その場で補正指示を受けられればスムーズです。
- 郵送: 簡易書留など記録の残る方法で送付しましょう。
4-2. 支払督促手続きの流れ(異議申立てがない場合)
支払督促のメリットを最大限に活かすためにも、この流れをしっかり理解しておくことが重要です。
- 申立て: 債権者が申立書を管轄の簡易裁判所に提出します。
- 裁判所の審査・補正: 裁判所書記官が申立書の内容を審査します。不備があれば「補正」の連絡が入り、修正を求められます。
- 支払督促の発令・送達: 申立書に問題がなければ、書記官が支払督促を発令し、相手方(債務者)に送達します。
- 相手方からの異議申立て期間(2週間): 相手方が支払督促を受け取ってから2週間以内に異議を申し立てなければ、支払督促は確定します。
- 異議申立てがなければ…
- 仮執行宣言の申立て: 異議申立て期間が過ぎても相手方から異議がなければ、債権者は改めて裁判所に「仮執行宣言の申立て」を行います。
- 仮執行宣言付き支払督促の発令・送達: 裁判所は仮執行宣言を付した支払督促を発令し、再度相手方に送達します。
- 相手方からの異議申立て期間(さらに2週間): 仮執行宣言付き支払督促を受け取ってから、相手方はさらに2週間以内に異議を申し立てることができます。
- 異議申立てがなければ…
- 支払督促の確定: 2回目の異議申立て期間も過ぎれば、支払督促が確定します。これで強制執行の申し立てが可能になります。
【手続き期間の目安】
- 申立てから最初の支払督促発令・送達まで:約1〜2週間
- 最初の異議申立て期間:2週間
- 仮執行宣言申立てから仮執行宣言付き支払督促発令・送達まで:約1〜2週間
- 2回目の異議申立て期間:2週間
- 合計:異議申立てがなければ、約1.5ヶ月〜2ヶ月で確定
4-3. 相手が異議を申し立てたら?
相手方が異議を申し立てた場合、その支払督促は効力を失い、通常訴訟に移行します。この場合、通常の裁判と同様に、法廷で弁論が行われ、判決によって決着することになります。費用や時間も訴訟と同程度かそれ以上にかかる可能性があるため、必要に応じて弁護士への相談を検討しましょう。
5. よくある質問(Q&A)
Q1: 自分で作成するのが不安ですが、テンプレートはありますか?
A1: はい、裁判所のウェブサイトから公式の書式をダウンロードできます。また、本記事の「3-2. 申立書の主要項目と記入方法」で示した具体的な記入例を参考に作成してみてください。複雑なケースでなければ、十分ご自身で作成可能です。
Q2: 弁護士に依頼するのと、自分でやるのとどちらが良いですか?
A2: ケースバイケースです。
- 自分でやるのがおすすめな場合: 請求金額が少額(数十万円程度)、債務者との間に争点が少ない、費用を抑えたい場合。
- 弁護士に依頼するのがおすすめな場合: 請求金額が高額、債務者との間で支払いの有無や金額について争いがある、相手が異議を申し立てる可能性が高い、手続きに不安がある、時間がない場合。 弁護士に依頼すれば、申立書の作成から提出、その後の手続きまで全て任せることができ、法的アドバイスも受けられます。
Q3: 相手の住所が分かりません。どうすれば良いですか?
A3: 支払督促は、裁判所から債務者へ書類を送達する必要があるため、正確な住所が不明な場合は利用できません。この場合、弁護士に依頼して、弁護士会照会制度などを利用して住所を調査してもらう方法や、他の債権回収手段を検討する必要があります。
Q4: 遅延損害金はどのくらい請求できますか?
A4: 原則として、契約書で定められた利率が適用されます。契約書に定めがない場合は、民法で定められた法定利率が適用されます。
- 2020年4月1日以降に発生した債務:年3%(3年ごとに見直し)
- 2020年3月31日以前に発生した債務:年5% 商事債務(事業に関する債務)の場合は、商法により年6%が適用されることもあります。
Q5: 提出からどれくらいで結果が出ますか?
A5: 相手方が異議を申し立てなければ、申立てから約1.5ヶ月〜2ヶ月で支払督促が確定し、強制執行の申し立てが可能になります。ただし、裁判所の混雑状況や、書記官による補正指示などがあった場合は、もう少し時間がかかることもあります。
まとめ:支払督促申立書で債権回収を諦めない!
支払督促は、裁判所を通じた債権回収手段の中でも、比較的簡易で迅速、そして費用を抑えて利用できる有効な方法です。特に、相手が支払いの事実を争わないケースや、少額の債権回収には非常に適しています。
本記事で解説した支払督促申立書の書き方のポイントを再度確認しましょう。
- 正確な情報: 債務者の氏名・住所、債権の内容(金額、発生原因、期日)を正確に把握する。
- 請求の趣旨: 「何を、いくら、いつからいつまで」請求するのか明確に記載する。
- 請求の原因: 債権発生の経緯と法的根拠を具体的に、かつ簡潔にまとめる。
- 費用: 請求額に応じた収入印紙と、裁判所指定の郵便切手を用意する。
- 管轄: 債務者の住所地を管轄する簡易裁判所に提出する。
自分で申立書を作成することに不安を感じるかもしれませんが、一つひとつの項目を丁寧に確認し、本記事の記入例を参考にすれば、決して難しいことではありません。
もし、自分で手続きを進めるのが難しいと感じたり、相手方との間で争いがある場合は、迷わず弁護士などの専門家に相談することを検討しましょう。
諦めずに債権回収に取り組むことで、あなたの正当な権利を守り、経済的な損失を防ぐことができます。この支払督促制度が、あなたの債権回収の一助となれば幸いです。