保証人への請求、どう進める?時効・手順・費用まで徹底解説!
保証人への請求、どう進める?時効・手順・費用まで徹底解説!
保証人への請求、どう進める?時効・手順・費用まで徹底解説!
債権者にとって、貸したお金が返ってこないのは死活問題です。主債務者が行方不明になったり、自己破産したりして返済が滞った場合、頼りになるのが「保証人」の存在です。
しかし、「保証人に請求する」と言っても、感情的に連絡するだけではうまくいきません。法的に有効な手順を踏み、適切な方法で請求を進めることが、債権回収を成功させる鍵となります。
この記事では、「保証人 請求 進め方」に焦点を当て、保証人への請求がなぜ必要なのかという基本から、具体的な請求手順、かかる費用、期間、そして見落としがちな注意点まで、法律の専門家であるSEOライターが徹底的に解説します。債権者の方が泣き寝入りすることなく、確実に債権を回収できるよう、平易な言葉で分かりやすくご紹介しますので、ぜひ最後までお読みください。
保証人への請求はなぜ必要なのか?債権回収の基本
まず、なぜ保証人への請求が必要になるのか、その基本的な考え方と債務者・保証人の関係について理解しておきましょう。
保証契約の役割と債務者・保証人の関係
保証契約とは、主たる債務者(お金を借りた本人)が債務(借金など)を履行しない場合に、保証人(第三者)がその債務を代わりに履行することを約束する契約です。この契約によって、債権者は主たる債務者からの回収が困難になった際、保証人から債権を回収する道を確保できます。
例えば、友人が銀行から100万円を借りる際に、あなたが保証人になったとします。友人が返済を滞納した場合、銀行はあなたに100万円の返済を請求できる、というのが保証契約の基本的な仕組みです。
保証人への請求が必要となるケース
保証人への請求が必要となるのは、主に以下のような状況に陥った場合です。
- 主たる債務者の返済が滞っている、または返済が期待できない場合
- 会社の倒産、リストラによる収入減
- 病気や事故による長期入院
- 夜逃げや行方不明
- 自己破産手続きの開始
- 連絡が取れない
このように、債権者が主たる債務者から直接債権を回収することが困難になった場合に、債権回収の手段として保証人への請求が重要となります。特に、主たる債務者が自己破産した場合でも、保証人の債務は免除されないため、保証人への請求は非常に有効な手段です。
保証人への請求を進める前に確認すべき重要事項
闇雲に請求を進める前に、いくつかの重要なポイントを確認しておく必要があります。これらの確認を怠ると、請求が無効になったり、回収が困難になったりする可能性があるので注意しましょう。
請求対象となる保証契約の種類(連帯保証・単純保証)
保証契約には、大きく分けて「単純保証」と「連帯保証」の2種類があり、これによって保証人に請求する際の進め方が大きく異なります。
- 単純保証(普通の保証)
- 連帯保証
- 主たる債務者と「連帯して」債務を負う保証です。
- 連帯保証人には、上記の催告の抗弁権と検索の抗弁権が認められません。
- つまり、債権者は主たる債務者の状況にかかわらず、いきなり連帯保証人に全額の返済を請求することができます。これが実務で圧倒的に多く、一般的な「保証人」のイメージに近いでしょう。
請求する相手が「単純保証人」なのか「連帯保証人」なのかを事前に契約書で確認することが非常に重要です。
保証債務の時効期間
債権には時効があり、一定期間が経過すると債権が消滅し、請求できなくなります。保証債務にも時効がありますので、いつからいつまで請求できるのかを正確に把握しておく必要があります。
【時効期間の原則】
| 債権の種類 | 2020年3月31日以前に発生した債権 | 2020年4月1日以降に発生した債権 |
|---|---|---|
| 商事債権 | 5年 | 一律5年(知った時から) |
| 一般債権 | 10年 | 一律5年(知った時から)/10年(行使できる時から) |
- 2020年4月1日施行の改正民法により、時効期間に関するルールが変更されました。
- 原則として「債権者が権利を行使できることを知った時から5年」または「権利を行使できる時から10年」のいずれか早い方が適用されます。
- 例えば、住宅ローンなどであれば、最後に返済が滞った時点から時効期間が進行し始めると考えられます。
- 時効の起算点
- 期限の利益を喪失した日: 債務者が支払いを滞らせたことで、分割払いの権利を失い、一括請求が可能になった日。
- 最終弁済期日: 契約で定められた最後の返済期限日。
時効期間が迫っている場合は、後述する「時効の更新(中断)」措置を速やかに取る必要があります。
事前通知と情報収集の重要性
保証人に請求する前に、主たる債務者と保証人に関する情報収集をしっかりと行いましょう。
- 主たる債務者の状況確認:
- 本当に返済能力がないのか?(財産状況、収入状況など)
- 連絡先はまだ有効か?
- 破産手続きの有無。
- 保証人の財産状況・連絡先の確認:
- 保証人にも返済能力があるのか?(収入、預貯金、不動産などの有無)
- 現在の居住地、電話番号、勤務先など、正確な連絡先を把握しているか?
これらの情報を把握することで、請求の方向性や成功の可能性を高めることができます。例えば、保証人も生活が困窮しているようであれば、分割払いの交渉を視野に入れるなど、現実的な対応を検討できます。
保証人への請求!具体的な進め方と法的手段
保証人への請求は、いきなり訴訟というわけではありません。段階を踏んで、適切な法的手段を選択していくことが重要です。
段階1:まずは任意交渉から(内容証明郵便の活用)
最初は、保証人に対し直接連絡を取り、話し合いによる解決を目指すのが一般的です。
- 口頭での請求
- 電話などで状況を説明し、返済を求める。
- 保証人の事情を聞き、誠実な対応を心がける。
- 分割払いや返済条件の交渉を行うことも検討。
- 内容証明郵便の送付
段階2:法的手段による請求
任意交渉に応じない、または連絡が取れない場合は、法的手段による請求を検討します。主な手段は以下の通りです。
支払督促
- 概要: 裁判所(簡易裁判所)を通して、債務者に金銭の支払いを命じる手続きです。
- 特徴:
- 迅速かつ簡便: 書類審査のみで、原則として裁判所に出頭する必要がありません。費用も訴訟の半額程度で済みます。
- 効果: 支払督促が相手に届き、2週間以内に相手から異議申立てがなければ、仮執行宣言の申立てが可能になります。仮執行宣言付支払督促が出れば、強制執行(差し押さえ)が可能になります。
- 注意点:
- 相手が異議を申し立てた場合、通常の訴訟手続きに移行します。
- 相手の住所が不明な場合や、海外に住んでいる場合は利用できません。
- 期間の目安: 異議がなければ約1〜2ヶ月で仮執行宣言まで可能です。
- 費用の目安: 請求額100万円の場合、約5,000円の収入印紙代+郵券代。
少額訴訟
- 概要: 60万円以下の金銭の支払いを求める場合に利用できる特別な訴訟手続きです。
- 特徴:
- 期間の目安: 申立てから判決まで約1〜3ヶ月。
- 費用の目安: 請求額100万円の場合、10,000円の収入印紙代+郵券代。
通常訴訟
- 概要: 金額の上限がなく、争いの内容が複雑な場合に利用される最も一般的な訴訟手続きです。
- 特徴:
- 期間の目安: 半年〜数年。
- 費用の目安: 請求額100万円の場合、10,000円の収入印紙代+郵券代+弁護士費用(着手金・報酬金)。
差し押さえ(強制執行)
支払督促や訴訟で債権者の請求が認められ、相手に支払いを命じる「債務名義」(確定判決、仮執行宣言付支払督促、和解調書など)が得られたにもかかわらず、相手が任意に支払わない場合、最終手段として「強制執行(差し押さえ)」を申し立てることができます。
強制執行は非常に強力な手続きですが、相手に差し押さえられるような財産がない場合や、財産が特定できない場合は、実効性が得られないこともあります。
保証人請求にかかる費用と期間の目安
保証人への請求手続きを進めるにあたって、どのくらいの費用と期間がかかるのかは非常に気になる点でしょう。ここでは目安をご紹介します。
弁護士費用・実費の目安
| 項目 | 概要 | 費用の目安 |
|---|---|---|
| 相談料 | 弁護士に相談する際の費用 | 0円〜1万円/時間(初回無料の事務所も多い) |
| 着手金 | 弁護士に事件を依頼した際に支払う初期費用 | 請求額による(例: 請求額300万円までなら、請求額の8%程度) |
| 報酬金 | 債権回収が成功した場合に、その成果に応じて支払う費用 | 回収額による(例: 回収額300万円までなら、回収額の16%程度) |
| 実費 | 収入印紙代、郵券代、交通費、謄写費用など | 数千円〜数万円(手続きによる) |
| 予納金 | 強制執行手続きで裁判所に納める費用 | 数万円〜(対象財産による) |
【費用例:100万円を回収する場合】
各手続きの期間
| 手続きの種類 | 期間の目安 |
|---|---|
| 任意交渉 | 数週間〜数ヶ月 |
| 内容証明郵便 | 準備に数日〜1週間、相手に届くまで数日 |
| 支払督促 | 申立てから仮執行宣言まで、異議がなければ約1〜2ヶ月 |
| 少額訴訟 | 申立てから判決まで約1〜3ヶ月 |
| 通常訴訟 | 申立てから判決まで半年〜数年 |
| 強制執行 | 債務名義取得後、1ヶ月〜数ヶ月 |
これらの期間はあくまで目安であり、相手の対応や裁判所の混雑状況、事案の複雑さによって大きく変動します。
保証人請求で失敗しないための注意点
保証人への請求を確実に進めるためには、いくつかの重要な注意点を押さえておく必要があります。
時効の中断(更新)措置を忘れずに
前述の通り、債権には時効があります。時効期間が経過し、保証人が「時効を援用する(時効が成立したことを主張する)」と、債権は消滅してしまいます。これを防ぐためには、「時効の更新(旧:中断)」措置を適切に行う必要があります。
【時効更新(中断)事由の例】
- 裁判上の請求(訴訟の提起、支払督促の申立てなど):手続き中に時効の進行が止まり、新たに判決などが確定した時点から時効がリセット(更新)されます。
- 差押え、仮差押え、仮処分
- 債務の承認:保証人が債務の存在を認めること。例えば、一部を支払ったり、「少し待ってほしい」と書面で伝えたりする行為。
- 催告:内容証明郵便による請求など。ただし、催告から6ヶ月以内に裁判上の請求などの手続きを行わないと、時効更新の効果は失われるので注意が必要です。
時効期間の計算は複雑な場合もあるため、少しでも不安があれば弁護士に相談することをお勧めします。
消滅時効援用への対応
保証人から「時効なので支払いません」と「消滅時効の援用」を主張されることがあります。時効の援用は、その意思表示が相手に到達した時点で効力を生じます。
時効の援用を防ぐためには、時効期間が経過する前に、上記のような時効更新措置を講じておくことが何よりも重要です。もし時効期間が経過してしまった後に援用されてしまうと、原則として請求は困難になります。
保証人の抗弁権(催告の抗弁権、検索の抗弁権)と連帯保証人の特例
保証人が単純保証人である場合、以下の抗弁権を行使される可能性があります。
- 催告の抗弁権: 「まずは主債務者に請求すべきだ」
- 検索の抗弁権: 「主債務者には〇〇の財産があるから、まずそちらから差し押さえるべきだ」
これらの抗弁権を行使された場合、債権者は主債務者への請求や主債務者の財産に対する強制執行を先に試みる必要があります。
しかし、**連帯保証人の場合には、これらの抗弁権は認められていません。**そのため、債権者は主たる債務者の返済状況や財産状況にかかわらず、連帯保証人に対して直接、全額の返済を請求することができます。これが、実務で「連帯保証人」が求められる理由であり、債権者にとって非常に有利な点です。
弁護士への相談を検討するタイミング
以下のような状況では、早期に弁護士に相談することを強くお勧めします。
- 保証人との交渉がうまくいかない、あるいは拒否された場合
- 保証人が時効を主張してきた場合
- 保証契約の内容が複雑で、単純保証か連帯保証か判断が難しい場合
- 保証人の財産状況が不明で、効率的な回収方法を知りたい場合
- 複数の保証人がいる場合の請求方法が分からない場合
- 手続きに不安がある、あるいは自分で対応する時間がない場合
弁護士は法的な知識と経験に基づき、最も効果的かつ効率的な債権回収方法を提案してくれます。また、煩雑な書類作成や裁判手続きも代行してくれるため、精神的負担も軽減されます。費用対効果を考え、早い段階での相談を検討しましょう。
【Q&A】保証人請求でよくある疑問
ここでは、保証人への請求に関してよくある疑問とその回答をご紹介します。
Q1: 債務者の財産がなくても保証人に請求できますか?
A1: はい、連帯保証人であれば、主債務者に財産がなくても請求できます。
連帯保証人には、催告の抗弁権や検索の抗弁権が認められないため、主債務者の財産状況や返済能力にかかわらず、債権者は直接、連帯保証人に全額を請求することができます。 もし単純保証人の場合でも、保証人が検索の抗弁権を行使しなければ、主債務者に財産があるかどうかに関わらず請求できます。ただし、検索の抗弁権を行使された場合は、まず主債務者の財産から回収を試みる必要があります。
Q2: 保証人から「自分も困っている」と言われたら?
A2: 保証人も経済的に困窮していると主張してきた場合でも、法的には返済義務はあります。
ただし、無理な請求はトラブルを長期化させる原因にもなります。保証人から支払い能力がないと訴えられた場合は、以下の選択肢を検討してみましょう。
- 分割払いの提案: 一括での返済が難しければ、無理のない範囲での分割払いを提案し、合意書を作成する。
- 一部免除の検討: 長期的な回収困難や法的費用の発生を考慮し、一部を免除することで早期解決を図る。
- 公正証書の作成: 分割払いに合意した場合、公正証書を作成すれば、万が一滞納が発生しても訴訟なしに強制執行が可能となり、安全性が高まります。
相手の事情も考慮しつつ、粘り強く交渉することが重要です。
Q3: 連帯保証人が複数いる場合、全員に請求できますか?
A3: はい、連帯保証人が複数いる場合でも、債権者はその全員、または一部の連帯保証人に対して、債務の全額を請求することができます。
例えば、連帯保証人が3人いる場合でも、債権者はそのうちの1人に対して、全額の支払いを請求することが可能です。これは「不可分債務」または「連帯債務」の考え方に基づくもので、各連帯保証人は全額の返済義務を負うからです。
ただし、一人の連帯保証人が全額を支払った場合、その連帯保証人は、他の連帯保証人や主債務者に対して、自分の負担分を超えて支払った分について「求償権(きゅうしょうけん)」を行使することができます。
まとめ
「保証人 請求 進め方」は、債権者にとって重要な債権回収手段の一つです。しかし、感情に任せて請求するのではなく、法的なルールに則って段階的に進めることが成功の鍵となります。
この記事で解説したポイントを改めて確認しておきましょう。
- 保証契約の種類を確認する: 連帯保証か単純保証かによって、請求の進め方が大きく異なります。特に連帯保証人は、主債務者と同等の責任を負い、抗弁権がありません。
- 時効期間に注意する: 債権には時効があり、適切な時効更新(中断)措置を取らないと、請求権を失う可能性があります。
- 段階的な請求を行う: まずは任意交渉(内容証明郵便の活用)から始め、応じない場合は支払督促、少額訴訟、通常訴訟などの法的手段を検討します。
- 費用と期間を把握する: 各手続きにかかる費用と期間の目安を知り、費用対効果の高い方法を選択しましょう。
- 弁護士への相談を検討する: 手続きが複雑な場合や、相手が反論してきた場合など、専門家のサポートを得ることで、より確実かつスムーズな解決が期待できます。
保証人への請求は、債権者にとって非常に労力のいる作業ですが、法的な知識と適切な手順を踏めば、確実に債権を回収できる可能性を高めることができます。ご自身の状況に合わせて、最適な「保証人 請求 進め方」を選択し、泣き寝入りすることなく大切な債権を取り戻しましょう。不明な点があれば、迷わず弁護士などの専門家に相談することをお勧めします。